注文住宅購入で適用される住宅ローン控除とは?条件と計算方法
2024/01/16
住宅ローン控除は、住宅購入者が住宅ローンの利息額を所得税や住民税から差し引いて税金を軽減する制度です。この制度は、住宅を新築、取得、または増改築する際に適用され、新築住宅だけでなく中古住宅の購入やリフォームにも利用できます。
住宅ローン控除は、住宅ローンの年末残高を基準に計算され、年末の時点で借入したローン残高の0.7%が最長13年間にわたり所得税から控除されます。
住宅ローン控除とは?適用される条件
住宅ローン控除は、住宅を購入する際に支払う住宅ローンの利息額を所得税や住民税から差し引いて控除する制度です。これにより、住宅購入者は税金の軽減を受けることができ、住宅の購入を支援するための税制措置の一つです。
◇「住宅ローン控除」とは?
「住宅ローン控除」は、正式名称は「住宅借入金等特別控除」となり、「住宅ローン減税」とも呼ばれます。住宅ローンを活用して住宅を新築、取得、または増改築する際に、所得税や住民税の減免を受けるための制度です。
住宅の取得やリフォームに必要な資金を借りる際、金利負担を軽減し、広く多くの人々が住宅を手に入れやすくするために設けられた制度で、新築住宅だけでなく中古住宅の購入やリフォームにも利用可能です。
住宅ローン控除は、住宅ローンの年末残高を基準に計算され、年末の時点で借入したローン残高の0.7%を、最長13年間にわたり所得税から控除されます。
◇適用される条件とは
住宅ローン控除を利用するには、適用条件を満たす必要があります。以下で適用条件について解説します。
返済期間
10年以上の住宅ローンが対象です。通常の金融機関からの住宅ローンや「フラット35」などが対象です、親族や身内からの借入は対象にはならず、勤務先からの借入の場合は利率が0.2%以上であるなどの条件があります。
入居時期
物件取得後6ヵ月以内の入居しなければならず、2022年から2025年までの期間に物件の名義人が居住する必要があります。子供や親の居住用途では適用されません。
床面積と居住比率
登記簿上の床面積が50㎡以上で、その1/2以上が自己の居住用である必要があります。
所得制限
控除を受ける年の所得金額が2,000万円以下であることが条件です。年収から必要経費(たとえば、給与所得控除など)を差し引いた金額が所得に該当し、この所得額が2,000万円以下でないと対象にはなりません。
さらに細かい条件も存在し、例えば、建築確認を受けた新築住宅で40㎡以上50㎡未満の場合や、夫婦が別々に借入を行う「ペアローン」の場合などにも特定の条件が適用されます。
また、中古住宅やリフォーム、増改築の場合にも適用されますが、これらのケースでも条件は詳細に定められているため、事前に調査が必要です。
◇住民税で住宅ローンを利用するための条件とは?
住民税から控除される金額には上限があり、以下の条件に基づいて少ない方が適用されます。
・所得税の住宅ローン控除可能額のうち控除しきれなかった金額
・所得税の課税所得金額の5%(上限97,500円)
ただし、2014年4月から2021年12月(特別特例取得などに該当するなら2022年12月)までに入居し、対象住宅の取得にかかった消費税の税率が8%または10%の場合、住宅ローン控除の上限は所得税の課税所得金額の7%(上限13万6,500円)となります。
住宅性能によっても変わる控除額
画像出典先:フォトAC
住宅ローン控除の額は、住宅の性能によっても変動します。住宅のエコ性能に関する認定や基準をクリアすることで、追加の税制優遇措置を受けることができる可能性があります。以下では、その詳細を解説します。
◇控除額が変わる要件
住宅ローンの控除額は、取得した住宅の種類によって異なります。以下はそれぞれの住宅種類に対する借入限度額と最大控除額です。
認定長期優良住宅
最大借入限度額は4500万円で、最大控除額は409万5000円です。この種類の住宅は、国の基準に合格し、長期間にわたって使用するための構造や設備を持っている必要があります。
認定低炭素住宅
同じく最大借入限度額4500万円で、最大控除額も409万5000円です。これらの住宅は、環境に配慮した住宅で、厳格な基準に合格しています。具体的な対策が講じられ、省エネ性能も高い必要があります。
ZEH水準省エネ住宅
最大借入限度額は3500万円で、最大控除額は318万5000円です。ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)基準を満たす住宅で、断熱性、省エネ性、創エネ性の基準をクリアしています。
省エネ基準適合住宅
最大借入限度額は3000万円で、最大控除額は273万円です。国の基準を満たす住宅で、断熱性やエネルギー消費量の基準をクリアしています。
その他の住宅
上記に該当しない住宅を指し、住宅ローン控除の対象外です
住宅の省エネ性能が高いほど、控除額が大きくなります。住宅ローンの控除を受けるためには、適切な基準を満たす住宅を購入することが重要です。上記以外の住宅を指し、住宅ローン控除の対象外です。
◇省エネ住宅の場合証明書が必要
2024・2025年に住宅ローン控除を受けるには、証明書の提出が必要になりました。
「長期優良住宅」「低炭素認定住宅」では「認定通知書の写し」、市町村の「住宅用家屋証明書」もしくは、建築士等が発行した「認定長期優良住宅建築証明書」か「認定低炭素住宅建築証明書」が必要です。
「ZEH水準省エネ住宅」においては、建築士等が発行した「住宅省エネルギー性能証明書」または、登録住宅性能評価機関の「建設住宅性能評価書」の写しが必要となります。また、「省エネ基準適合住宅」では、建築士等が発行した「住宅省エネルギー性能証明書」または、登録住宅性能評価機関の「建設住宅性能評価書」の写しを提出が求められます。
住宅ローン控除額の計算方法
住宅ローン控除額を正確に計算する方法を理解することは、住宅購入者にとって非常に重要です。ここで、住宅ローン控除額の計算方法について例を挙げて解説します。
◇住宅ローン控除額の計算方法
年末時点の住宅ローン残高に対する控除額の計算方法は、「残高×0.7%」です。
住宅ローン控除額は住宅の新築または中古か、そして入居年が2022~2023年では、2024~2025年かによって異なります。
また、1年間の最大控除額は35万円となりますが、すべての人に最大控除額が適用されるわけではなく、一人ひとりの条件によって最大控除額は変わってきます。
また、住宅ローン控除の適用を受けるには、入居した年の翌年に確定申告や年末調整が必要です。
確定申告をしないと、納め過ぎた所得税を還付してもらうための「還付申告」ができず、「住宅ローン控除」が適用されないため注意してください。
◇住宅ローン控除額のシミュレーション
住宅ローン控除額の計算は、年末時点の住宅ローン残高に基づいて行われます。以下の例を通じて具体的な計算方法を理解しましょう。
例えば、Aさんが福岡で5,000万円の注文住宅を購入し、その住宅が長期優良住宅で、入居は令和6年に予定されています。また、借入額が長期優良住宅の借入限度額4,500万円を超えると仮定します。この場合、控除額の上限は31万5,000円となります。
まず、所得税においては、Aさんの所得税額が12万円であれば、この金額が全額控除されます。
次に、住民税においては、所得税の課税総所得金額等の合計額の5%が住民税からの最高控除限度額です。この例では、控除限度額は9万7,500円と仮定します。しかし、最高控除限度額を超えないように計算されるため、9万7,500円が控除されます。
したがって、Aさんの合計控除額は所得税の12万円と住民税からの9万7,500円を合算した21万7,500円となります。
このように、住宅ローン控除額は所得税と住民税の合計から計算され、控除限度額や入居年、住宅の種類によって異なります。計算式を理解し、適用条件を確認することで、正確な控除額を計算することができます。
住宅ローン控除は、住宅購入者が所得税や住民税から支払った住宅ローンの利息額を差し引いて税金を軽減する税制措置です。この制度を利用するためには一定の条件を満たす必要があります。
返済期間は10年以上の住宅ローンが対象で、入居は物件取得後6ヵ月以内である必要があります。また、床面積の50%以上が自己の居住用で、所得が2,000万円以下であることも条件です。さらに、住宅の性能によっても控除額が異なり、認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅がそれぞれ異なる最大控除額を持っています。
省エネ住宅の場合は証明書の提出が必要となり、計算方法は年末時点の住宅ローン残高の0.7%が控除されます。住宅ローン控除は所得税と住民税から計算され、合計控除額は個人の条件や住宅の種類によって異なります。