高気密・高断熱の家とは?ZEH基準についてと評価方法について
2023/06/30
高気密・高断熱の家は、外部からの熱や冷気の侵入を最小限に抑えるために設計された住宅です。これにより、快適な室内環境を実現し、エネルギーの効率的な利用が可能です。
高気密・高断熱の家は、冬でも暖房負荷を軽減し、夏でも冷房負荷を抑えられます。その結果、エネルギーコストの削減にもつながり、地球温暖化の抑制や資源の節約にも貢献します。こちらでは、高気密・高断熱の家とZEH基準について解説します。
高気密・高断熱の家とは
高気密・高断熱の家は、外界からの熱や冷気の浸入を極力減らすために設計されています。以下に、高気密・高断熱の家のメリットを詳しく説明します。
・冬でも暖かい環境を提供
高断熱性により、室内の温度を一定に保ちます。熱の逃げを最小限にするため、暖房負荷が軽減され、室内で快適な温度を維持できます。
・ヒートショック防止
高気密性により、外気の浸入を防ぐことで、突然の温度変化によるヒートショックを防止します。室内の温度変化が緩やかであるため、体への負担も軽減されます。
・結露を防ぐ
高気密・高断熱の家では、壁や窓枠などからの湿気の侵入を抑えるため、結露を防ぐことが可能です。結露による水害やカビの発生を予防します。
・夏の暑さを遮断
夏の暑さから室内を守り、快適でエネルギー効率の高い環境を提供します。冷房負荷を軽減して、夏でも快適な室内環境を保ちます。
これらの特徴により、高気密・高断熱の家は、エネルギー効率や快適性の向上により、エネルギーの浪費を抑え、快適な室内環境を提供します。高気密性による外部からの熱や冷気の侵入の抑制、高断熱性による断熱効果の向上は、エネルギーコスト削減と持続可能な未来の実現にも貢献します。
ただし、快適さを実現させるためには、換気・気密・断熱のバランスを考慮する必要があり、適切な換気システムの設置や適度な気密性の確保、効果的な断熱工法の採用が重要です。これにより、快適な室内環境を実現しながらエネルギー効率を最大化できます。
断熱性の評価方法
断熱性能を示す指標として、「断熱等性能等級」と「UA値」があります。それぞれを説明していきます。
・断熱等性能等級
断熱等性能等級は、国土交通省が制定している指標であり、建物の断熱性能をグレードで表すものです。一般的には1から7までの等級があり、等級7が最も高い断熱性を示し、等級1が最も低い断熱性を示します。
この指標は、国土交通省によって定められた評価基準に基づいて算出され、建物の断熱性能や熱損失の程度を示す重要な情報となっています。等級が高いほど断熱性が優れており、冬場の暖房負荷を軽減できます。
・UA値
UA値は、建物の断熱性能を示す重要な指標であり、熱貫流率(U値)と外皮の面積(A値)の積で算出されます。熱貫流率は、建物の断熱材や窓などの構成要素の熱の透過性を表し、A値は建物の外皮(壁、屋根、床など)の面積を示します。
UA値は、建物の熱損失量を外皮面積で割った値で、外皮1平方メートル当たりの熱の逃げる量を示します。UA値が小さいほど建物はより効果的に熱を保ち、快適な室内環境を実現し、優れた断熱性能を持ちます。
UA値が低い建物は熱の逃げを抑える効果が高く、内部の熱を外部に逃がしにくくなります。その結果、冬季には暖房の熱が室内に効果的に保たれ、夏季には外部の熱が室内に侵入しにくくなります。
これらの指標は、建物の断熱性能を客観的に評価するために使用されます。高い断熱等性能等級や低いUA値を持つ建物は、エネルギー効率が高く、快適な室内環境を提供することが期待できます。
ZEH基準とは
ZEH(ゼッチ)とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、年間の一次エネルギー消費量がほぼゼロに近い住宅を指します。この取り組みは、経済産業省が推進するものであり、持続可能な社会の実現に向けた重要な取り組みとなっています。
ZEHの普及を促進するため、経済産業省は基準の策定や助成金制度の導入などを行っています。これにより、エネルギー消費の削減や再生可能エネルギーの利用を推進し、地球温暖化防止やエネルギーコスト削減に貢献します。ZEHは、未来に向けた経済産業省の重要な取り組みの一環として注目を集めています。
ZEHには4つの基準が存在しており、それらについて以下で説明します。
・強化外皮基準(UA値)
強化外皮基準(UA値)はZEH取得において重要な基準で、建物の外皮の断熱性能を評価します。地域によって厳しい基準が設定され、寒冷地ではより高い断熱性能が求められます。強化外皮基準はZEHの持続可能な住宅実現のために重要です。
・基準一次エネルギー消費量20%以上削減
ZEHを達成するためには、一次エネルギー消費量を20%以上削減する必要があります。一次エネルギーとは、天然ガスや石油などの自然資源から直接得られるエネルギーのことです。ZEHを達成するには、一次エネルギー消費量を20%以上削減する必要があります。断熱性能の向上やエネルギー効率の改善を通じて、消費エネルギーの削減が重要です。
・再生可能エネルギーの導入
再生可能エネルギーは太陽光や風力などから得られる持続可能なエネルギーであり、ZEHを実現するためには太陽光パネルなどの再生可能エネルギーシステムを導入する必要があります。主に太陽光発電が多くのZEH取得を検討する人々によって選ばれています。
・上記3つの基準より、基準一次エネルギー消費量から100%削減
上記の取り組みにより、エネルギーを創り出し、基準一次エネルギー消費量から100%以上の削減を実現することで、ZEH達成となります。
また、Nearly ZEH(ニアリーゼッチ)と呼ばれる基準もあり、それは一部の条件が緩和されたほぼゼロエネルギー・ハウス(ZEH)基準で、寒冷地や低日射地域、多雪地帯などの特定の地域において、一次エネルギー消費量を75%以上100%未満削減する住宅基準です。
さらに、ZEH基準よりも厳しく、一次エネルギー消費量を25%以上削減する住宅基準ZEH+もあります。より高いエネルギー効率と持続可能性を追求し、環境への負荷を軽減します。
高気密高断熱の家を考えるなら、断熱性能等級やUA値の指標を参考にしながら、ZEH基準に向けた取り組みを行いましょう。これにより、環境への負荷を軽減しながら、快適な住まいを実現することが可能です。
高い断熱性能や低いUA値は、エネルギーの節約と快適性を両立させるために重要です。ZEH基準を達成することで、年間の一次エネルギー消費量をほぼゼロに近づけることも可能になります。環境への配慮を忘れずに、快適な住まいを実現しましょう。