福岡の家づくりの知識
長期優良住宅とは?福岡で長期優良住宅を建てるポイント
2023/10/31
福岡での長期優良住宅建築に際し、経済的な利点と品質の向上を探求する際の注意点があります。計画的なスケジュール調整と費用対効果の検討が肝要で、高性能な建材や設備の利用と税制優遇の比較を検討しましょう。信頼性のあるハウスメーカー・工務店の選択も不可欠です。専門知識と技術が必要な設計と施工を、実績豊富な企業に依頼し、安心で快適な住まいを実現しましょう。
長期優良住宅とは?認定基準について解説
長期優良住宅とは、耐震性や省エネ性などの高い性能を持ち、長く住み続けられるように計画された住宅のことです。長期優良住宅には、国や地方公共団体からさまざまな支援が受けられます。
例えば、固定資産税の減免や住宅ローンの優遇などがあります。
では、どうすれば長期優良住宅の認定を受けることができるのでしょうか?その方法は3つのステップに分けられます。
- 認定基準を満たす設計をする
- 技術審査を受ける
- 所管行政庁に認定申請を行う
認定基準を満たす設計をする
長期優良住宅には、国土交通省が定めた認定基準があります。基本的には10項目が認定基準を満たすための条件が決められていますが、戸建住宅では2項目不要であり8項目のみが必須です。ここでは戸建住宅にターゲットを絞ります。
●耐震性
極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること。
次の1~3いずれかの措置を講じること。
1)耐震等級3とする
チェック項目:性能表示壁量、壁の配置、床倍率、接合部、横架材、基礎
2)大規模地震時の地上部分の各階の安全限界変形の高さに対する割合をそれぞれ1/40以下とする(層間変形角を確認)
3)免震建築物とする
●省エネルギー性
必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること。
省エネ法に規定する省エネルギー基準(次世代省エネルギー基準)に適合すること。
1)断熱等性能等級5以上 (UA値、ηAc値、結露対策)
2)かつ 一次エネルギー消費量等級6
●維持管理・更新の容易性
構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備について、維持管理(清掃・点検・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること。
1)構造躯体等に影響を与えることなく、配管の維持管理を行うことができること
2)更新時の工事が軽減される措置が講じられていること
●劣化対策
数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること。
劣化対策等級3相当に加えて、
1)床下及び小屋裏の点検口を設置
2)床下空間に330mm以上の有効高さを確保
●住戸面積
良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること。
75m2以上(2人世帯の一般型誘導居住面積水準)
1)少なくともひとつの階の床面積が40m2以上
2)地域の実情に応じて引上げ、引下げを可能とする。ただし、55m2を下限とする。
●居住環境
良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。
所管行政庁が審査 ※所管行政庁毎に基準が異なる
●維持保全管理
建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること。
1)維持保全計画に記載すべき項目については、
・構造耐力上主要な部分
・水の浸入を防止する部分
・給水・排水の設備
2)少なくとも10年ごとに点検を実施すること。
3)地震時及び台風時に臨時点検を実施すること。
●住宅履歴情報の整備
長期優良住宅に認定された住宅はその建築及び維持保全の状況に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。
電子データ等による作成・保存も可
1)長期優良住宅認定申請書および添付図書
2)意匠関係図書(平面図、立面図、矩形図 等)
3)構造関係図書(各種伏図、壁量計算書、N値計算書、接合金物リスト 等)
4)仕様関係図書・設備関係図書・設備機器関係図書 等
これらの基準を満たすように、設計者や施工者と相談しながら設計を行います。また、認定基準は地域や住宅形態によって異なる場合があるので、事前に所管行政庁に確認しておくことが重要です。
技術審査を受ける
設計が完了したら、次に技術審査を受けます。技術審査とは、認定基準を満たしているかどうかを第三者機関がチェックする工程です。
技術審査は、設計段階と施工段階でそれぞれ1回行われます。設計段階の審査では、図面や仕様書などの提出が必要です。施工段階では、現場で建物や設備の状況を確認します。技術審査に合格すると、技術審査機関から「技術審査合格証明書」が発行されるという流れです。
所管行政庁に認定申請を行う
技術審査合格証明書が発行されたら、所管行政庁に認定申請を行います。所管行政庁とは、都道府県や政令指定都市などの地方公共団体のことです。認定申請には、以下の必要書類を提出し、審査を受ける必要があります。
・認定申請書
・設計内容説明書
・各種図面・計算書
審査に合格すると所管行政庁から「長期優良住宅認定証」が発行され、長期優良住宅の認定を受けたことを証明できるのです。
長期優良住宅のメリット・デメリット
長期優良住宅に認定されると、さまざまなメリットを得られます。主なメリットは8つありますが、概略だけ以下に記していきましょう。
1. 所得税における住宅ローン控除での優遇
長期優良住宅に認定された住宅を購入すると、所得税における住宅ローン控除をより長く受けられます。通常の住宅ローン控除では、借入金利の合計額の1%を10年間控除されますが、長期優良住宅では借入金利の合計額の0.7%を13年間控除できるからです。これにより、最大で180万円程の節税につながります。
出典:国税庁 No.1213 認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
2. 投資型減税を受けられる
長期優良住宅に認定された住宅を購入した場合、投資型減税の対象にもなります。投資型減税とは、一定の条件を満たした投資に対して所得税を減らす制度です。長期優良住宅では、最大65万円の所得税控除を受けられます。
出典:国土交通省 令和5年度 投資型減税(所得税)(新築)
3. 不動産取得税が減税される
長期優良住宅に認定された住宅を購入すると、不動産取得税の減税措置も適用されます。不動産取得税とは、不動産を取得した際にかかる地方税です。2024年3月31日の取得であれば取得価格の3%(上限1,200万円)が課税されます。長期優良住宅では、取得価格の上限が1,300万円まで引き上げられているのです。これにより、50万円程の節税が期待できます。
出典:国土交通省 認定長期優良住宅に対する税の特例
4. 登録免許税の税率が引き下げられる
長期優良住宅に認定された住宅を購入した場合、登録免許税の税率が引き下げられます。登録免許税とは、不動産や車などの登録や免許にかかる国税です。通常は登録や免許に必要な書類に記載された金額(評価額)の0.15%が課税されますが、長期優良住宅では評価額の0.1%と低い税率となっています。これにより5万円程の節約が可能です。
出典:国土交通省 長期優良住宅に対する税の特例
5. 固定資産税の減税期間が延長される
長期優良住宅に認定された住宅を購入した場合、固定資産税の減税期間が延長されます。固定資産税とは、不動産や車などの固定資産を所有している人にかかる地方税です。通常は、3年から5年、長期優良住宅では、認定年度から最大7年間まで引き伸ばすことが可能になります。
出典:国土交通省 認定長期優良住宅に対する税の特例
6. 住宅ローンの金利が優遇される
長期優良住宅に認定された住宅を購入した場合、住宅ローンの金利が優遇されることがあります。一部の金融機関では長期優良住宅に対して低金利のローンを提供しているためです。これにより、利息が節約できます。
7. 地震保険料の割引が受けられる
長期優良住宅に認定された住宅を購入した場合、地震保険料の割引が受けられます。地震保険とは、地震や津波などによる被害に対して補償する保険です。通常は、保険料率は建物や家財の種類や築年数などによって異なります。長期優良住宅では耐震等級によって20%~30%の割引を受けられることがありるのです。これにより、保険料を節約できます。
8. 地域型住宅グリーン化事業の補助金を受けられる場合がある
長期優良住宅に認定された住宅を購入した場合、地域型住宅グリーン化事業の補助金を受けられる場合があります。地域型住宅グリーン化事業とは、地域の特性や環境に応じたグリーン化(緑化)を行うことで、快適で持続可能な住まいづくりを支援する事業です。令和5年度は、子育て世帯や若者夫婦世帯がZEH住宅を新築すると100万円、住宅の省エネ改修を行うと30万円を助成しています。
出典:国土交通省 令和5年度 地域型住宅グリーン化事業
長期優良物件認定を受けるデメリット
長期優良物件には税制優遇や住宅ローン減税など多くのメリットがありました。しかし、長期優良物件認定にはデメリットもあるため注意が必要です。長期優良物件認定を受けることで生じる4つのデメリットについてご紹介します。
1.長期優良住宅認定の取得まで時間がかかる
耐震性や省エネ性などの基準をクリアする必要があります。そのため、設計と工事に多くの時間を要するでしょう。また、長期優良住宅の認定申請にも時間がかかります。入居まである程度時間的な余裕が必要です。
2.建築コストがアップする場合がある
長期優良住宅の基準を満たすためには、高性能な建材や設備を使う必要があります。その分、建築コストが高額になりがちです。また、長期優良住宅の認定申請費用もかかります。税制優遇や補助金などでコストを抑えられますが、これらも完成してからの申請となるため、それなりの初期費用を用意しておく必要があるでしょう。
3.長期優良住宅の申請費用がかかる
長期優良住宅の認定申請には申請書類や添付資料の作成、検査機関への提出などが必要です。この費用は建築主が負担しなければなりません。また、認定申請後に変更を加えた場合は再申請や追加検査が必要となるため、その場合も費用がかかります。
4. 定期点検が欠かせない
長期優良住宅には定期点検を受けることが義務付けられており、「維持保全計画」にのとって基準値を維持しているかを確認されます。点検結果によって補修や改修が必要だと判断された場合は補修が必要です。そのため、この点検にかかる費用と補修費用がかかります。
福岡で長期優良住宅を建てる際に注意したいポイント
長期優良住宅は耐震性や省エネ性などの品質も高く、快適で安全な住まいです。そのため、福岡県では長期優良住宅を推奨し、福岡市をはじめ多くの市区町村で長期優良住宅対して固定資産税を最長7年間2分の1に減するといった減額措置を実施しています。
出典:福岡市 長期優良住宅に対する減額措置
福岡で長期優良住宅を建てる場合、経済的なメリットは非常に大きいと言えるのです。ただし、福岡で長期優良住宅を建てる際は3つの注意点があります。
スケジュールの調整
長期優良住宅に認定されるためには、申請や審査が必要です。これには多くの時間がかかりますし、引き渡し後も検査や証明書の発行が必要です。これらのスケジュールを確認し、引き渡しや入居のタイミングを調整しなければなりません。
費用対効果を見極める
長期優良住宅に認定されるためには、一定の基準を満たす必要があります。これには、耐震性や省エネ性などの高い性能を持つ建材や設備を使用することが必要です。これにより、通常の住宅よりも建築費用が高くなる場合があります。そのため、建築費用の増加分と税制優遇等のメリットを比較し、費用対効果を見極めが必要です。
信頼できるハウスメーカー・工務店を選ぶ
長期優良住宅に認定されるためには、設計や施工にも一定の基準が求められます。これには、専門的な知識や技術が必要です。そのため、信頼できるハウスメーカー・工務店を選ぶことが重要です。長期優良住宅の実績の多いハウスメーカー・工務店に依頼することがおすすめです。
福岡で長期優良住宅を建てる際には、経済的なメリットを享受しつつも注意が必要です。スケジュールの調整は重要で、認定申請や審査に時間を要するため、計画的なスケジュールが求められます。また、費用対効果を検討し、高性能な建材や設備の使用に伴う増加費用と、税制優遇等のメリットを比較しましょう。信頼できるハウスメーカー・工務店を選ぶことも不可欠です。長期優良住宅の設計や施工には専門知識と技術が必要であり、実績豊富な企業に依頼することで、安心して快適な住まいを実現できます。福岡での長期優良住宅建築は、経済的な利点と品質の高さを兼ね備えた選択肢と言えるでしょう。