福岡で注文住宅を建てる際に注意したい「がけ条例」と擁壁による対策
2023/11/22
がけ条例とは、がけ崩れから住宅を守るための条例です。がけ条例の対象となるがけは、30度以上の傾斜を有する土地です。がけ条例の対象となる土地に住宅を建てる場合は、必ず確認しましょう。
福岡は、豊かな自然に恵まれ、海や山などの景色を楽しめる土地です。そんな福岡で注文住宅を建てる場合、がけ条例の存在を知っておくことが大切です。
がけ条例とは、がけ崩れから住宅を守るための条例です。がけ条例の対象となるがけは、30度以上の傾斜を有する土地です。
がけ条例の規制内容は、がけのすぐ近くに建築物を建造する場合、建築物とがけとの間に一定の距離を設けることです。
例えば、福岡県福岡市では、高さが3mを超えるがけの付近が規制の対象となっています。この場合、がけの上端からがけの高さの2倍の距離内に建築物を建造することは禁止されています。
ただし、地盤が強固である、住宅が倒壊しない構造である、土砂をせき止める対策を行っているなどの条件を満たせば、規制の緩和が可能です。
こちらでは、福岡で注文住宅を検討している方に、がけ条例の概要を解説します。
がけ条例とは?近くに傾斜面がある場合要注意
画像出典先:フォトAC
がけ条例とは、土砂崩れや地滑りなどのがけ崩れが起きた際、住宅が巻き込まれてしまわないように、隣接する建築物へ規制を設ける条例のことです。
がけ条例とは
がけ条例とは、土砂崩れや地滑りなどのがけ崩れが起きた際、住宅が巻き込まれてしまわないように、がけのすぐ近くに建築物を建造することを制限するために設けられたものです。
一般的に高さが2mを超えるがけの付近が規制の対象ですが、福岡県福岡市では高さが3mを超えるがけの付近が規制の対象です。
なお、がけ条例は通称であり、各都道府県、自治体、政令指定都市などにより、呼び方や規制の内容が少しずつ異なります。そのため、注文住宅の新築を検討中の方は各自治の規制内容を確認しましょう。
がけについて
がけ条例で規制の対象となるがけとは、30度を超える傾斜を有した土地のことを指します。福岡県福岡市では高さが3mを超えるがけのすぐ近くに建築物を建造する場合、建築物とがけとの間にがけの高さの2倍の距離を設けるよう義務付けられています。
がけ条例にしたがって建築物を建造する際に、住宅が小さくなってしまったり、建造ができなくなったりするおそれもありますが、一定の条件を満たせば、がけ条例の規制の緩和が可能です。そのため、がけ条例の規制の対象となるがけの付近に住宅の新築を希望する場合、がけ条例が緩和される条件を押さえておくと良いでしょう。
がけ条例の規制内容
がけのすぐ近くに建築物を建造する場合、建築物とがけとの間に一定の距離を設けなければなりません。
なお、一定の距離の算出方法はがけの上下どちらかにより異なり、がけの上の場合、がけの下端からがけの高さの2倍に相当する距離の範囲内に建築物を建造することが禁止されています。がけの下の場合、がけの上端からがけの高さの2倍に相当する距離の範囲内に建築物を建造することが禁止されています。
しかし、福岡県が定めるがけ条例(福岡県建築基準法施行条例第5条)によると、『必要な措置を構ずればこの限りではない』とされており、いくつかの例外が認められています。
がけ条件が緩和される条件について
福岡県が定めるがけ条例(福岡県建築基準法施行条例第5条)によると、必要な措置を構ずる場合、がけ条例の条件が緩和される可能性があります。
こちらでは、がけ条例が緩和される条件について詳しくご紹介いたします。
地盤が強固である
地盤が強固であるということは、土地、建設地の地下の土壌、岩盤などが十分に堅固であり、建造した建築物を安定して支えられることを意味します。これらは、地質調査や構造計算などを行うことにより確認することが可能です。
住宅が倒壊しない構造である
住宅が倒壊しない構造とは、がけが崩壊しても、倒壊、転倒、滑動、沈下などを防げる住宅であることを指します。
例えば、住宅の地下に杭を打つ、基礎部分を一般の基礎より深く取る深基礎工事を行い、住宅も併せて補強することなどが挙げられます。また、地盤調査などを行い、住宅の強度に問題がないと判断される必要があります。
土砂をせき止める対策を行っている
がけ崩れなどによる土砂をせき止めるには、さまざまな対策があります。例えば、がけと住宅との間にコンクリートでできた土留めを設置する、がけに面する部分に窓やドアを設けずに無開口にする、壁を鉄筋コンクリートにするなどが挙げられます。
なお、土砂をせき止める対策を行うことにより、がけ条例の条件が緩和されるだけでなく、普段から土砂の流入を防ぎ、広い範囲に擁壁を設置するよりも費用を抑えられるなどの利点を得られます。
擁壁を設置している
擁壁とは、土砂の崩壊を留める土留めのひとつであり、がけの傾斜面や地盤の崩壊を防ぐためのブロックや石のことを指します。
設置する範囲や高さにもよりますが、擁壁の設置には多額の費用が必要となることも決して珍しいことではありません。また、定期的に点検を行い、劣化の進行具合や現在の法律の基準に満たしているかを確認する必要があります。そのため、擁壁を設置していたとしても、劣化が激しいものや現在の法律の基準に満たしていないものは認められません。
擁壁とは?主な種類と費用について
擁壁とは、土砂の崩壊を留める土留めのひとつであり、がけの傾斜面や地盤の崩壊を防ぐためのブロックや石のことを指します。擁壁の主な種類として、石積み擁壁、コンクリート擁壁、鉄筋コンクリート擁壁が挙げられ、それぞれ特徴や費用などが大きく異なります。そのため、実際に擁壁の設置を検討中の方はそれぞれの特徴を深く理解し、最適なひとつを選択することが大切です。
石積み擁壁
石積み擁壁とは、ブロックや石を積み重ねて造る擁壁のことです。耐用年数は20~50年ほどとされており、1平米あたり、1.6~5万円ほどの費用が必要です。
なお、石積み擁壁には、石と石の間にモルタルを入れて積み重ねていく工法と石のみを使用して積み重ねていく工法がありますが、建築基準法では、後者のものは擁壁と認められていないため、注意が必要です。
コンクリート擁壁
コンクリート擁壁とは、無筋コンクリートで造る擁壁のことです。耐用年数は20~50年ほどとされており、1平米あたり、2~5万円ほどの費用が必要です。
コンクリート擁壁は、依頼する工務店やハウスメーカーの実力次第で仕上がりに差が生じるため、コンクリート擁壁の設置を検討中の方はさまざまな工務店やハウスメーカーの施工事例を比較・検討し、お気に入りの1社を見つけると良いでしょう。
鉄筋コンクリート擁壁
鉄筋コンクリート擁壁とは、コンクリートの中に鉄筋が含まれている擁壁のことです。耐用年数は20~50年ほどとされており、1平米あたり、2.5~10万円ほどの費用が必要です。
鉄筋コンクリート擁壁は、他のものと比較すると、やや割高ですが、強度が強く、斜面に対して真っ直ぐに設置できるため、一般的に用いられている擁壁です。
福岡で注文住宅を検討中の方は、がけ条例の存在を知っておくことが大切です。がけ条例は、がけ崩れから住宅を守るための条例です。がけ条例の対象となるがけは、30度以上の傾斜を有する土地です。
がけ条例の規制内容は、がけのすぐ近くに建築物を建造する場合、建築物とがけとの間に一定の距離を設けることです。例えば、福岡県福岡市では、高さが3mを超えるがけの付近が規制の対象となっています。この場合、がけの上端からがけの高さの2倍の距離内に建築物を建造することは禁止されています。
ただし、地盤が強固である、住宅が倒壊しない構造である、土砂をせき止める対策を行っているなどの条件を満たせば、規制の緩和が可能です。
がけ条例の対象となる土地に住宅を建てる場合は、必ず確認しましょう。確認方法は、市区町村の建築基準課などに問い合わせるか、市区町村のホームページで確認することができます。
福岡で注文住宅を検討中の方は、がけ条例の規制を必ず確認し、安全な住宅を建てましょう。