福岡の注文住宅で床暖房は必要?床暖房にかかる費用や注意点
2023/10/31
福岡は一般的に寒冷な地域ではありません。床暖房は気温が低い時期に多く活用されるため、寒冷地の方が設置のメリットは大きいと言えます。しかし、床暖房は快適な居住環境を提供し、特定の条件下では便益が高いことも事実です。注文住宅で床暖房を導入する際に、費用相場や特徴を把握しておくことが重要です。
こちらの記事では、福岡の気候に合った床暖房の検討ポイントや設置にかかる費用、注意すべき事項について詳しく解説します。福岡の温暖な冬を考慮しつつ、快適な住環境を実現するための情報を提供します。
床暖房の種類とそれぞれの特徴
床暖房には熱源の違いによって2つの種類があります。それぞれの特徴について以下で詳細に解説します。
温水循環式床暖房
温水循環式床暖房は、部屋を快適に暖めるために床下に配置された配管を通じて温水を循環させる暖房システムです。
このシステムには、熱源としてガス、灯油、電気などが使用されます。一般的に、ガスや灯油を使う場合は立ち上がりが早く、スイッチを切っても温かさが持続します。電気を使う場合も同様にスイッチを切っても温かさが持続します。
温水循環式床暖房の特徴
・設置費用が高い
熱源に温水を使用しており、熱源機の設置が必要になるため、電気ヒーター式と比べて設置にかかる費用が比較的高いです。
・ランニングコストを抑えられる
一度設置すれば、運転中のランニングコストは電気ヒーター式に比べて低い傾向があります。温水循環式は低温の温水を利用し効率的に部屋を暖めるため、エネルギー効率が良いと言えます。
・暖まるスピードが早い
温水循環式床暖房は、温水を使って暖房するため、熱伝導率がよいです。部屋を早く暖められます。
電気ヒーター式床暖房の特徴
電気式の床暖房のタイプ
・電熱線ヒーター式
この方式では、電熱線を通電して直接発熱させます。電気を通じて発熱するため、即座に暖房効果が得られます。しかし、運転コストが高いことが欠点です。
・蓄熱式
蓄熱式床暖房は、電気代の安い時間帯に電力を使用して熱を蓄えます。その後、必要に応じて蓄熱した熱を放出し、部屋を温めます。電気代を節約できる反面、立ち上がりがやや遅いことがあります。
・PTCヒーター式
この方式は、床の温度に応じて自動的に温度調節を行います。PTC(正温度係数)ヒーターは、床の温度が上昇すると発熱を制御し、過度に暖かくなりすぎないようにします。
電気ヒーター式床暖房の特徴
・設置費用を抑えられる
電気ヒーター式床暖房は、床に電熱線ヒーター内蔵のパネルを設置し、電気の力で温める仕組みを採用しています。そのため、設置にかかる初期費用は比較的抑えられます。
・ランニングコストが高い
電気ヒーター式は電気を使用して暖房するため、ランニングコストが高くなるのが一般的です。
・温まるスピードが遅い
温水循環式に比べて部屋を温めるまでに時間がかかることがあります。
床暖房の費用は?床暖房にかかる費用と注意点
画像出典先:フォトAC
床暖房の設置費用は、床暖房の熱源の種類や設置する部屋の広さによって大きく異なります。また、地域によっても設置費用に違いがあり、施工業者や材料の品質も価格に影響を与えます。
設置費用
温水循環式(ガス温水式)の畳程度の広さでの設置費用は、約6万円から10万円程度かかります。電気ヒーター式の畳程度の広さでの設置費用は、約5万円から7万円程度です。
部屋の広さによる費用目安
以下は、リビングに床暖房を設置する場合の広さごとの費用目安です。ただし、これらはあくまで目安であり、実際の価格は地域や工事内容によって異なります。
・6畳の場合:30万~60万円
・8畳の場合:40万~80万円
・10畳の場合:50万~100万円
・12畳の場合:60万~120万円
・15畳の場合:75万~150万円
設置費用が床の広さに比例することが分かります。床暖房の設置にかかる費用は、部屋の広さや床暖房の熱源の種類によって変動するため、検討する際には具体的なプロの見積もりを取るのも重要です。
ランニングコスト
床暖房を使う際にかかる月々の電気代は、床暖房の種類によって異なります。以下は、8畳の部屋を1日8時間使用した場合の電気代の目安です。
・温水循環式床暖房 約110〜130円/日、約3,300〜3,900円/月
・電気ヒーター式床暖房 約90円〜200円/日、約2,700〜6,000円/月
・エアコン 約110〜140円/日、約3,300〜4,200円/月
これらはあくまで目安であり、実際の電気代は使用状況やエネルギーコストによって変動します。一般的に、温水循環式床暖房は高いランニングコストがかかり、電気ヒーター式床暖房は中程度のコストがかかります。
エアコンも床暖房も一定の電気代がかかりますが、床暖房は電気代よりランニングコストが低く押さえられます。
メンテナンス費用
床暖房のメンテナンス費用には、熱源の交換費用や温水循環式床暖房の場合に必要な、不凍液の交換費用などがあります。
不凍液の交換
約5万円程度です。不凍液は床暖房の温水を凍らせないために使用されます。10年ごとに交換が必要です。
熱源の交換
約20〜40万円程度です。熱源は床暖房の熱を供給する装置で、10〜15年に一度交換が必要になります。
床暖房の注意点
すぐに部屋を暖められない
床暖房を設置する際に注意が必要な点の一つは、床暖房が部屋をすぐに暖めるのが難しいことです。床暖房は部屋全体を均一に暖めるために時間がかかります。
一般的には、床暖房を起動してから部屋全体が暖かく感じられるまでに最低1時間以上かかる場合があります。
メンテナンスが必要な場合もある
床暖房を設置した場合、特に温水循環式床暖房の場合、定期的なメンテナンスが必要です。一方、電気ヒーター式床暖房は耐用年数が比較的長く、建物自体の耐用年数に近いため、ほとんどメンテナンスが必要ありません。
床暖房は本当に必要?こんな場合は床暖房がおすすめ
床暖房は、湿度を下げることなく部屋を快適に温めてくれる利点がありますが、設置費用等がかかるため、導入は慎重に検討しなければなりません。以下で床暖房がおすすめな人や、有効な条件について解説します。
床暖房が必要な人の特徴
部屋の乾燥が気になる人
床暖房はエアコンよりも乾燥しにくく、湿度を保ちやすいため、部屋の乾燥を気にする人に向いています。
末端冷え性の人
床暖房は足元を温かく保つため、血液の循環を改善し、末端冷え性を和らげるのに役立ちます。
集中して勉強できる環境が欲しい人
床暖房は「頭寒足熱」の環境をつくり、勉強や仕事に集中できる環境を提供します。
掃除が面倒な人
床暖房は敷物を敷かない前提で設計されており、掃除が簡単で、広々とした部屋を保つことができます。また、暖房器具を置く必要がないため、部屋のスペースも有効活用できます。
福岡の冬はおだやかな寒さ
福岡は寒冷地に比べて床暖房が必要な時期が短い
床暖房の使用を検討する時期は通常、気温が15℃程度になる11月前後から始めてもよいとされています。
福岡の気温は一般的に高いとされており、床暖房が必要な期間は寒冷地域に比べて短いことが専門家により指摘されています。以下はその主な根拠です
気温の基準
床暖房の使用を検討する際の基準として、室内の暖房設定温度が通常20℃とされています。
福岡の冬の平均気温は比較的温暖であるため、この基準に達することが他の都道府県と比べて比較的遅いです。
体感温度
一般的な感覚として、人々は10℃以下で寒いと感じることが多いとされています。福岡の冬の平均気温がこれより高いため、寒さを感じる頻度が比較的低いです。
健康面
高齢者にとって、急激な温度変化が健康に影響を及ぼすことがあります。
しかし、福岡の冬の気温は寒冷地域に比べて穏やかであるため、ヒートショックなどのリスクが相対的に低い可能性が高いです。
床暖房は湿度を保ちやすく、エアコンよりも乾燥しにくいため、乾燥が気になる人に向いています。また、足元を温かく保つので足先の冷えが気になる方にもおすすめです。このようなメリットを持つ床暖房ですが、導入に際しては、費用も考慮して慎重に検討する事が重要です。
床暖房には熱源の違う2つの種類があります。温水循環式床暖房は、設置費用が比較的高いですが、運転コストは低めで速く部屋を暖められます。一方、電気ヒーター式床暖房は、設置費用は温水循環式に比べて抑えられますが、部屋を暖めるまでに時間がかかることがあります。
どちらを選ぶかは予算や好みに合わせて考えるべきです。また、床暖房の必要性は気温や地域の気候条件に依存し、福岡の冬は比較的温暖なため、必要性を検討する際には気温を考慮することが大切です。