ZEH住宅は義務化の流れ?2024年の補助金とZEH注文住宅を建てる場合のポイント
2024/01/17
建築物省エネ法の改正により、2025年4月から新築住宅における省エネ基準が義務化され、ZEH住宅の普及が加速しています。注文住宅を建てる際には、ZEH基準を超える設計を検討することが重要です。その際、ZEHビルダーの選択や補助金制度の把握がポイントになります。
今さら聞けないZEH住宅の特徴とZEHの種類
ZEH住宅とは「Net Zero Energy House」の略で、簡潔に言えば、住宅のエネルギー消費と創生の合計がゼロとなるよう設計された住宅です。福岡でも近年注目されるようになりました。
◇ZEH住宅で重要な3つの要素
ZEH住宅として認定されるには3つの要件があります。
断熱性能
家の断熱性能は、外部の気温の影響を最小限に抑え、冷暖房の効率を向上させるために非常に重要です。この性能はUA値(外皮平均熱貫流率)という指標で表され、小さいほど優れた断熱性を示します。ZEHでは、より厳しい基準であるUA値=0.6以下が求められます。高い断熱性能はエネルギー消費を抑制し、快適な室内環境を維持します。
省エネ性能
高性能な設備や機器を採用することにより、エネルギーの無駄を削減します。これには高効率なエアコンや照明、給湯設備の導入が含まれます。特に、冷暖房、照明、給湯、換気の分野でZEH基準を満たした機器の使用が必要です。省エネ性能の向上はエネルギー消費量の削減に寄与します。
創エネルギー
ZEHの最も特徴的な要素の一つは、自家発電システムの活用です。太陽光発電などの再生可能エネルギーシステムを導入し、家庭内でエネルギーを生成します。余ったエネルギーは電力会社に売ることも可能です。創エネルギーは環境への負荷を減少させ、エネルギー収支をゼロに近づける重要な要素です。
これらの要素を組み合わせることで、ZEHは高いエネルギー効率を持ち、環境への負担を軽減しながら、住宅の快適さと経済性を実現します。
◇ZEHの種類
ZEH住宅にはいくつかの種類があります。それぞれの特徴や条件について以下で詳細に解説します。
ZEH
ZEH(ゼッチ)は、断熱と省エネにより一次エネルギー消費量を20%以上削減し、創エネを含めて一次エネルギー消費量を100%以上削減する条件を満たす住宅です。
ZEH +
ZEH+(ゼッチプラス)は、ZEH条件を満たし、一次エネルギー消費量を25%以上削減する高性能住宅であり、かつ「外皮性能の更なる強化」「電気自動車を活用した自家消費の拡大(EV充電設備の設置)」「高度エネルギーマネジメント(HEMSの導入)」の中から2つ以上を採用する必要があります。
Nearly ZEH
Nearly ZEHは、創エネを含む一次エネルギー消費量を75%以上削減できる住宅を指します。これは、日照時間が少ない地域や積雪が多い地域などに配慮したZEHの一形態です。
2024年以降でZEH補助金制度を利用するには
画像出典先:フォトAC
2024年以降でZEH補助金制度を利用するには、新たな条件や手続きが適用されることが予想されています。以下では、2024年以降のZEH補助金制度についての詳細を解説します。
◇ZEH住宅で利用できる補助金
ZEH住宅には、さまざまな補助金制度があり、それぞれ異なる条件や補助金額が適用されます。以下は主要な補助金制度の概要です。
ZEH補助金 (補助金額: 55万円/戸)
ZEH要件を満たす戸建住宅で、SIIに登録されているZEHビルダー/プランナーを利用した場合に適用されます。
ZEH+補助金 (補助金額: 100万円/戸)
ZEH要件を満たす戸建住宅で、SIIに登録されているZEHビルダー/プランナーを利用し、以下の条件を満たす場合に適用されます:
① 省エネ基準から25%以上の一次エネルギー消費量を削減
② 以下の再生可能エネルギーの自家消費拡大措置のうち2つ以上を満たすこと
・外皮性能の更なる強化
・高度エネルギーマネジメント
・電気自動車を活用し、充電設備を導入
次世代ZEH+補助金 (補助金額: 100万円)
ZEH+の要件を達成し、さらに「蓄電システム」「V2H充電設備(充放電設備)」「燃料電池」「太陽熱利用温水システム」「太陽光発電システム(10kW以上)」のいずれか1つ以上を導入する住宅に適用されます。
次世代HEMS補助金 (補助金額: 112万円)
ZEH+の要件を満たし、高度エネルギーマネジメントを採用し、蓄電システム又は充放電設備を導入した住宅が対象です。また、燃料電池や太陽熱利用温水システムの設備も選択可能です。AI・IoT技術などによる最適制御機能を備えた新築や注文住宅には112万円の補助金が支給されます。
これらの補助金制度を利用することで、ZEH住宅の建築や改築において、省エネルギー技術や再生可能エネルギーの導入に関する費用を削減することができます。各制度に該当する条件を満たすか確認し、適切な補助金を活用しましょう。
◇子育てエコホーム支援事業について
子育て世代を対象にした「こどもエコすまい支援事業」が終了し、新しく「子育てエコホーム支援事業」が始まりました。「子育てエコホーム支援事業」は、子育て世帯や若者夫婦世帯に対して、高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や住宅の省エネリフォームなどに補助金を提供する制度です。この制度では、窓リフォームに関する他の補助金制度との併用も可能です。
対象世帯
申請時点で、2005年4月2日以降に出生した子供を持つ世帯。(2024年3月末までに工事着手する場合には、2004年4月2日以降に出生した子供も対象)
または、申請時点で夫婦であり、いずれかが1983年4月2日以降に出生した世帯。(2024年3月末までに工事着手する場合には、1982年4月2日以降に出生した世帯も対象)
補助金の額
新築住宅の取得において、補助金の額は対象住宅のタイプと世帯の属性によって異なり、最大で40万円から100万円まで変動します。
この制度は、住宅の省エネ性能向上を通じて、政府が目指す2050年のカーボンニュートラル実現を支援することを目的としています。条件や基準を満たすことで、最大100万円の補助金を受け取ることができます。新築やリフォームを計画している方は、この補助金を活用することで省エネ性能の高い住宅を手に入れるチャンスです。
新築住宅では、注文住宅と分譲住宅の両方が対象となりますが、対象は「子育て世帯」と「若者夫婦世帯」に限られます。一方、リフォーム工事に関しては、子どもの有無や年齢に制限はありません。
補助金の金額は、対象住宅の種類や要件によって異なります。長期優良住宅とZEH住宅の認定を受けた住宅は、最大で100万円の補助金を受け取ることができます。
ZEH住宅義務化の流れとこれから建てる場合の注意点
省エネ性能に関する国の基準が厳格化し、2025年4月からは新築住宅において省エネ基準への適合が義務化されるなど、住宅建築におけるエネルギー効率の向上が進んでいます。ここではZEH住宅義務化の流れとこれからZEH住宅を建てる際の注意点について解説します。
◇ZEH住宅義務化の流れについて
建築物省エネ法の改正により、2025年4月からは新築住宅や非住宅において、省エネ基準の適合が原則的に義務となります。この改正の背後には、2030年までにすべての新築住宅が「ZEH(ゼッチ)基準」の省エネルギー性能基準を達成することを目指す政府の取り組みがあります。
具体的には、省エネ基準への適合性審査が新築建築の確認手続きの一環として行われ、省エネ基準を満たさない場合、建築工事の着工が許可されない仕組みが導入されます。これは、世界的に広まる温室効果ガス排出削減の動向に合致した措置であり、日本政府も「2050年カーボンニュートラル宣言」を発表し、温室効果ガス排出をゼロにする目標を掲げています。
このように、ZEH住宅の普及が進み、省エネ基準の義務化により、持続可能な住宅建設が推進されています。
◇ZEH住宅を建てる際に気をつけたいこと
2025年以降、新築住宅の省エネ基準が義務化され、ZEH基準に適合しない住宅は資産価値が低下する可能性が高まります。したがって、新しい住宅を建てる場合は、ZEH基準以上の設計を依頼することが大切です。今後ZEH住宅を建てる際には以下のポイントに注意が必要です。
ZEH住宅を建てられる工務店を選ぶ
ZEH住宅は、ZEHビルダー登録業者によって建てられます。全ての工務店がZEH住宅を建てられるわけではないため、ZEHビルダーを選ぶ必要があります。また、補助金の条件にはZEHビルダーによる建築が含まれる場合もあります。したがって、適切なビルダーを選ぶことが重要です。
ZEH住宅補助金の最新スケジュールを確認する
ZEH住宅の補助金制度は、公募や着工・竣工のスケジュールが厳密に決まっています。また、年度によってスケジュールや要件が異なることもあります。最新の公募要件を待ちながら、ZEHビルダー・プランナーを見つけ、スケジュールが発表されたら即行動する準備が大切です。
住宅の省エネ性能は飛躍的に上がる
現在、住宅の省エネ基準は進化し続けており、2025年以降に新築される住宅の省エネ性能は飛躍的に高まることが予想されます。市場は既に「ZEH水準」を目指しており、今後も支援策が提供されるでしょう。したがって、住まいの購入や建築を検討する際には、省エネと創エネについてよく理解し、補助金を活用しながら、高性能で快適な家づくりを目指すことが重要です。
ZEH住宅は、エネルギー消費と創生がゼロとなる設計の住宅で、福岡でも注目されています。ZEH住宅には断熱性能、省エネ性能、創エネルギーの3つの要素が重要で、これらを組み合わせて高いエネルギー効率と快適な住環境を実現します。
ZEH住宅にはいくつかの種類があり、ZEH、ZEH+、Nearly ZEHなどがあり、それぞれの条件に適合することで補助金を受け取ることができます。また、子育てエコホーム支援事業もあり、子育て世帯や若者夫婦世帯に高い省エネ性能を持つ住宅を建てる際に補助金が提供されます。
2025年からは新築住宅における省エネ基準が義務化され、ZEH基準を満たさない住宅は資産価値が低下する可能性が高まります。したがって、ZEH住宅を建てる際にはZEHビルダーを選び、補助金の最新情報を把握し、省エネ性能が飛躍的に向上する現在の動向を注視することが大切です。